「大人の対応」

「ここに置いたじゃん!」社長が探し物をしながら言った。               どうやら、私の机の上に資材か何かを置いたつもりらしい。               しかし、私はその記憶がない。「私の机にはなかったと思いますよ。」           そう答えても、「どこに片付けたんだ!」と返ってくる。

こちらも内心では、「いやいや、見てもいない物を片付けられないでしょ!」         と言いたくなる。正直、だんだんイライラしてきた。                  本当なら強い口調で言い返したかったくらいだ。                    しかし、その日は事務所に銀行さんや税理士さんが来ていた。              社内の人だけならともかく、お客様や関係者がいる前で感情をぶつけるのは       違う気がした。ぐっとこらえて対応していると、                    銀行さんから「よく怒りませんね!」と言われた。                    そこで私は、                                   「怒れるよ~。でも会社以外の人がいるのに、あんまり感情むき出しにはできないよね。」 と答えた。大人の対応である。…と言いたいところだが、                本当は血管が切れそうなくらいイライラしていた。

そして後になって、その探し物は事務所ではない場所から見つかった。          どうやら、「私の机に置いた」というのは社長の思い込みだったのかもしれない。

人の記憶というのは意外とあてにならないものだ。だからこそ、「絶対に置いた」     ではなく、「置いたつもりかもしれない」くらいの気持ちで確認することも        大切なのだと感じた。

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